理想気体

理想気体の状態方程式 [密度からの計算方法]

高圧ガス製造保安責任者乙種化学の試験(以下、高圧ガス乙種化学試験)で理想気体の状態方程式についての問題はよく出題されています。

今までもさまざまな形式で理想気体の状態方程式を使った計算問題を解説してきましたが、今回は「密度」を使った式の変形をおこなっていきます。

今までの状態方程式の記事はこちらになりますので、こちらの記事もぜひ読んでみてください。

 理想気体の状態方程式の確認

 理想気体の状態方程式 (2つの状態を比較する)

今回の「密度」を使った状態方程式は非常に難しく、出題頻度が低いため、余力がある方のみチャレンジするようにしてね

理想気体の状態方程式

理想気体の状態方程式は以下のような式で表すことができます。

<理想気体の状態方程式>

PV = nRT

P: 圧力(Pa), V: 体積 (m^3)

n: 物質量 (mol), R: 気体定数, T: 絶対温度 (K)

理想気体の状態方程式忘れちゃったよ...
えっ!?そんな時は理想気体の記事の復習をしっかりしてね!

 理想気体の状態方程式の確認

分子量/モル質量

分子量とかモル質量って何?
分子量は1molあたりの気体の質量のことだよ!詳しくは下で説明するね!

分子量/モル質量は「ある気体が1molあるときの質量」のことで、分子量は気体の種類によって変わります。

<分子量の例>

  • 水素:2 g/mol
  • 酸素:32 g/mol
  • 二酸化炭素:44 g/mol

そのため、1molの二酸化炭素が容器に含まれているときの質量は44gということになります。

ところで、1molって何だっけ?
1molは気体の分子数を表すための単位で、1molは6.02 \times 10^23のことだよ!

<物質量 molの定義>

1mol = 6.02 \times 10^23

練習問題

ここで1問分子量についての問題を解いてみよう!

分子量44(g/mol)の二酸化炭素が110gあるときの物質量(mol)を求めよ。

問題の解き方

分子量の定義は「分子1molあたりの気体の質量」のことであるため、分子量44(g/mol)の二酸化炭素は1molあたり質量が44gであることがわかります。

<分子量の定義>

分子1molあたりの気体の質量

今回の問題では110gの気体は何molの二酸化炭素が含まれているのかを求める問題のため、1molあたりの質量である分子量で割ることで分子量を求めることができます。

そのため、計算方法は以下のようになります。

110 (g) \div 44 (g/mol) = 2.5 (mol)

解説を聞いてもまだ難しくてわからないよ...
そんなときのためにチョコレートに置き換えた問題で考えてみよう!

1個44gのチョコレートが110gあるとき、チョコレートは何個あるのかを求めよ。

この問題だったら、110 \div 44 = 2.5個になるって理解しやすい!
物質量は分子の個数だから、このように身近なものの個数を求める問題だと考えるとわかりやすくなるよ!

物質量の求め方

先程の問題を文字で置き換えて一般的な形にするとこのような形になります。

分子量M (g/mol)の気体の質量がw(g)あるときの物質量n(mol)はいくらか?

物質量を求める式は先程求めた方法と同様にすると、

<物質量を求める式>

物質量 = 質量 ÷ 分子量

となるため、物質量nは以下のように表すことができます。

<物質量>

 n = \frac{w}{M}

理想気体の状態方程式

物質量nを質量と分子量で変換する方法について勉強したから、今度は状態方程式に実際に代入をしてみよう!
状態方程式PV = nRTのnに代入するんだね!

理想気体で使われているnを質量と分子量で変換することで、気体の質量から圧力などを計算することができるようになります。

理想気体を以下のように変形することができます。

<理想気体の変形>

PV = nRT

PV = \frac{w}{M}RT

密度

問題!1kgの鉄球と1kgの綿、どっちの方が重いでしょう?
その問題知ってる!答えは両方とも1kgだから同じでしょ!
正解!よく知っているね。でも、同じ1kgでも鉄球と綿だと大きさが全然違うよね?だから同じ大きさの重さを表すときに密度が使われるんだ!

密度とは一定体積の物質の質量のことで、先程の例だと鉄の方が密度が高いことになります。

密度の計算式は以下のようになっています。

<密度の求め方>

密度 = 質量 ÷ 体積

そのため、文字で置き換えると

d = w \div V = \frac{w}{V}

となります。

理想気体の状態方程式

今回求めた物質量nの変換式と密度dの変換式を利用すると、理想気体の状態方程式をこちらのように変換することができます。

<理想気体の状態方程式の変換>

PV = nRT

PV = \frac{w}{M}RT

PM = \frac{w}{V}RT

PM = dRT

変換式を覚えるの..すごく難しいよ...
そうだよね。だから余力のある人だけできるように練習しようね。

今回の記事のまとめ

今回の記事では理想気体の状態方程式を変形した2つ式について紹介をしていきました。

<変形 状態方程式>

PV = \frac{w}{M}RT

PM = dRT

これらを使って解く計算問題も稀に出題されますので、余力のある方はぜひ暗記をするようにしてください。

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です