高圧ガス製造保安責任者乙種化学の試験(以下、高圧ガス乙種化学試験)で理想気体の状態方程式についての問題はよく出題されています。
しかし、問題はさまざまな形式で出題されるため、状態方程式をしっかりと暗記し、たくさんの問題演習を行い理解を深める必要があります。
今回は2種類以上のガスが混合している混合ガスの性質について詳しく説明していきます。
基本となる状態方程式についての詳細はこちらの記事で詳しく説明しているので、不安がある方はこちらの記事も読んでみてください。
今回の記事では2つの状態を比較するために状態方程式を使って、未知の値を求める計算問題を解きながら解き方を確認していきましょう。
2つの状態を比較するための状態方程式についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
混合気体分圧の性質
混合気体の分圧には大きく2つの性質があります。
<混合気体の分圧の法則>
- ドルトンの法則:
- 分圧の法則:
今回の問題
分子量44の気体Aと分子量24の気体Bの混合気体がある。気体Aの質量は22gである。混合気体の全圧が10MPaで、気体Aの分圧が2MPaのとき、気体Bの質量はおよそいくらか。
解答
48g
混合気体の分圧の解き方
混合気体の分圧の問題は以下の4ステップで解けることが多いです。
- 混合状態と分離状態を整理する
- 求める値を確認する
- わかっている値を代入する
- 分圧の法則、状態方程式を利用する
混合気体の分圧の問題の場合、2つの気体が混ざっていると状況が複雑に感じてしまうので、分離をして状況を整理することが大切です。
実際に今回の問題を解きながら、どのように状況を整理するのかを確認していきましょう。
混合状態と分離状態を整理する
気体Aと気体Bが混ざっている状態が最初の状態とすると、同じ容器に気体Aのみが入っている状態(状態A)と気体Bのみが入っている状態(状態B)を想定します。
状態Aと状態Bのそれぞれの圧力などの条件は以下のように定めます。
<状態A>
- 圧力:
- 体積:V
- 物質量:
- 温度:T
<状態B>
- 圧力:
- 体積:V
- 物質量:
- 温度:T
求める値を確認する
問題文を確認すると
分子量44の気体Aと分子量24の気体Bの混合気体がある。気体Aの質量は22gである。混合気体の全圧が10MPaで、気体Aの分圧が2MPaのとき、気体Bの質量はおよそいくらか。
となっているので、求めるものは気体Bの質量であることがわかります。
わかっている値を代入する
状況を整理すると、問題文より以下の値を代入することができます。
<値の代入>
混合気体分圧の性質
復習にはなりますが、混合気体の分圧には以下の2つの性質があります。
<混合気体の分圧の法則>
- ドルトンの法則:
- 分圧の法則:
ドルトンの法則
ドルトンの法則は混合気体の分圧を全て足すと、全圧になるというものであるため、以下のような等式が成立します。
<ドルトンの法則>
今回の問題では全圧が10MPa, 気体Aの分圧が2MPaであることから
<ドルトンの法則>
分圧の法則
分圧の法則は、分圧の比がそれぞれの気体の物質量の比と一致するという法則であり、分圧の比は1:4になっていることから物質量も1:4になります。
気体Aの質量が22gで、気体の分子量が44g/molであることから、気体Aの物質量は0.5molと求められます。
「気体A:気体B = 1:4」であるため、気体Bの物質量は2molであることがわかります。
以上より、気体Bの質量は[latex]24(g/mol)\times 2(mol) = 48g[latex]と求めることができました。
今回の記事のまとめ
今回の記事では混合気体の分圧について、4つのステップで解けることを確認していきました。
- 混合状態と分離状態を整理する
- 求める値を確認する
- わかっている値を代入する
- 分圧の法則、状態方程式を利用する
混合気体の問題は少し難しい問題ですが、ぜひ練習して解けるようにしておくと合格を近づけることができます。