高圧ガス製造保安責任者乙種化学の試験(以下、高圧ガス乙種化学試験)で理想気体の状態方程式についての問題はよく出題されています。
しかし、問題はさまざまな形式で出題されるため、状態方程式をしっかりと暗記し、たくさんの問題演習を行い理解を深める必要があります。
状態方程式についての詳細はこちらの記事で詳しく説明しているので、不安がある方はこちらの記事も読んでみてください。
今回の記事では2つの状態を比較するために状態方程式を使って、未知の値を求める計算問題を解きながら解き方を確認していきましょう。
2つの状態を比較するための状態方程式についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
2つの状態を比較する状態方程式
理想気体の状態方程式は以下のように表せます。
<理想気体の状態方程式>
P: 圧力(Pa), V: 体積 ()
n: 物質量 (mol), R: 気体定数, T: 絶対温度 (K)
その式を2つの状態を比較しやすい形に変形すると、こちらの形になります。
<2つの状態を比較する状態方程式>
P,V,n,Tは状態1の値 P',V',n',T'は状態2の値
今回の問題ではこちらの式を使いながら解くことで、比較的簡単に問題を解くことができますので、一緒に確認していきましょう。
今回の問題
内容積の容器で圧力1.5MPa,温度27度の二酸化炭素を温度127度まで上昇させた時の圧力はいくらか?二酸化炭素は理想気体とする。
解答
2.0MPa
2つの状態比較問題の解き方
2つの状態を比較する問題の解き方は以下の6ステップに分けて解いていけば、必ず解くことができます。
<2つの状態比較問題の解き方>
- 状態1,状態2の状況を整理
- わからないものは文字で置く
- 変化のないものを確認し、等式から削除
- 状態方程式を変形し、求める値を左へ、それ以外を右へ
- わかっている値を代入
- 計算する
実際に問題を使いながら6ステップに分けて解いていきます。
今回の解答
今回の問題の解答は2.0MPaです。
状態1,状態2の状況を整理
内容積の容器で圧力1.5MPa,温度27度の二酸化炭素を温度127度まで上昇させた時の圧力はいくらか?二酸化炭素は理想気体とする。
今回の問題文から状態1,状態2について以下のような状態であることがわかります。
<状態の整理>
状態1: P = , V = 10, n = ?, T = 300
状態2: P’ = ?, V' = 10, n' = ?, T' = 400
問題文中にnの記載がありませんので、空欄のままとしておき、状態2の体積については状態1からの変化が特に記載されていないため状態1と同じ状態と考えます。
わからないものを文字で置く
先程、問題文をよく読むことによって状況が整理され、現在わからない数字は状態1のn, 状態2のP',n'であることがわかりました。
このことより、それぞれの文字をそのままn,P',n'とおき、これから計算をしていきます。
変化のないものを確認し、等式から削除
次に変化のない変数(文字)を明確にし、変化のない文字については等式から削除します。
今回の問題では以下の2つが変化がないため、等式から削除することができます。
<状態1,状態2で変化がないもの>
- 体積(V)
- 物質量(n)
以上より、2つの変数を削除することでこのような式になります。
<2つの状態を比較する状態方程式>
状態方程式を変形し、求めるものを左へ、それ以外を右へ
今回求める値は状態2(変化後の状態)の圧力であるため、P'になります。
そのため、先程の状態方程式をP'が左へ、それ以外が右へ移動するように式を変形していきます。
<2つの状態を比較する状態方程式>
わかっている値を代入
先程の状況の整理によって、状態1,状態2が上の図のような状態になっていることから、これらの値を代入することによって計算をすることができます。
<変数の代入>
計算する
これらを全て代入すると求めたい値であるP'を求めることができます。
よって、圧力2.0MPaであることがわかりました。
本記事のまとめ
今回の記事では2つの状態を比較する問題の解き方を実際に問題演習をしながら行いました。
2つの状態比較問題の解き方は以下の6つのステップで解くことが可能です。
<2つの状態比較問題の解き方>
- 状態1,状態2の状況を整理
- わからないものは文字で置く
- 変化のないものを確認し、等式から削除
- 状態方程式を変形し、求める値を左へ、それ以外を右へ
- わかっている値を代入
- 計算する
ぜひこの6ステップを意識して問題を解いてみてください。