
高圧ガス製造保安責任者乙種化学の試験(以下、高圧ガス乙種化学試験)で理想気体の状態方程式についての問題はよく出題されています。
今までもさまざまな形式で理想気体の状態方程式を使った計算問題を解説してきましたが、今回は「密度」を使った式の変形をおこなっていきます。
今までの状態方程式の記事はこちらになりますので、こちらの記事もぜひ読んでみてください。
理想気体の状態方程式

理想気体の状態方程式は以下のような式で表すことができます。
<理想気体の状態方程式>
P: 圧力(Pa), V: 体積 ()
n: 物質量 (mol), R: 気体定数, T: 絶対温度 (K)
分子量/モル質量

分子量/モル質量は「ある気体が1molあるときの質量」のことで、分子量は気体の種類によって変わります。
<分子量の例>
- 水素:2 g/mol
- 酸素:32 g/mol
- 二酸化炭素:44 g/mol
そのため、1molの二酸化炭素が容器に含まれているときの質量は44gということになります。

<物質量 molの定義>
1mol =
練習問題

分子量44(g/mol)の二酸化炭素が110gあるときの物質量(mol)を求めよ。
問題の解き方

分子量の定義は「分子1molあたりの気体の質量」のことであるため、分子量44(g/mol)の二酸化炭素は1molあたり質量が44gであることがわかります。
<分子量の定義>
分子1molあたりの気体の質量
今回の問題では110gの気体は何molの二酸化炭素が含まれているのかを求める問題のため、1molあたりの質量である分子量で割ることで分子量を求めることができます。
そのため、計算方法は以下のようになります。
1個44gのチョコレートが110gあるとき、チョコレートは何個あるのかを求めよ。

物質量の求め方

先程の問題を文字で置き換えて一般的な形にするとこのような形になります。
分子量M (g/mol)の気体の質量がw(g)あるときの物質量n(mol)はいくらか?
物質量を求める式は先程求めた方法と同様にすると、
<物質量を求める式>
物質量 = 質量 ÷ 分子量
となるため、物質量nは以下のように表すことができます。
<物質量>
理想気体の状態方程式

理想気体で使われているnを質量と分子量で変換することで、気体の質量から圧力などを計算することができるようになります。
理想気体を以下のように変形することができます。
<理想気体の変形>
密度

密度とは一定体積の物質の質量のことで、先程の例だと鉄の方が密度が高いことになります。
密度の計算式は以下のようになっています。
<密度の求め方>
密度 = 質量 ÷ 体積
そのため、文字で置き換えると
となります。
理想気体の状態方程式

今回求めた物質量nの変換式と密度dの変換式を利用すると、理想気体の状態方程式をこちらのように変換することができます。
<理想気体の状態方程式の変換>
今回の記事のまとめ

今回の記事では理想気体の状態方程式を変形した2つ式について紹介をしていきました。
<変形 状態方程式>
これらを使って解く計算問題も稀に出題されますので、余力のある方はぜひ暗記をするようにしてください。